信じられなかった・・・・。
一瞬垣間見たそれを、俺は幻だと思いたかった・・・。
◆ 小さな棘 ◆
その日の船の不寝番は前半の受け持ちがルフィ、後半がゾロという組み合わせだった。
グルグルとローテーションを組んで回る不寝番は大概が二人一組で行われる。
もちろんその時の状況に応じて交代するから組み合わせは様々だ。
だが、その組み合わせには一定のルールがあって、不寝番をしながら寝てしまいそうなルフィは前半だけとか、お子様で夜更かしは良くないと言われたチョッパーは明け方近くに交替する後半だけとか。
そして昼間いつでも寝ているクソ剣士は一晩中とか・・・。
「おーい、ルフィ、起きてるか?」
片手に夜食を乗せたトレーを抱えてマストを見上げ静かに声をかければ、おう、と、元気な声が返る。
相変わらず深夜だろうが昼間だろうが元気な声に苦笑しつつ続ける。
「ほらよ、夜食。」
「お、肉か?!」
俺の声にスルスルとメインマストから降りてきてキラキラと瞳を輝かせてトレーを受け取る、というか腕から奪っていく。
食い意地の張ったやつだ、誰もとらねぇって。
「ローストビーフサンドだ。野菜も食え。」
「ん、んんー・・・うめえぞ、サンジ。」
ニッカといつもの笑みを浮かべて口いっぱいに頬張るルフィが食べ終わるのを待って少し離れた場所で俺は煙草を燻らす。
一応煙が食事中のルフィに行かないように気を使ってるんだぜ、これでも。
「ごっそさん。」
「おまえねぇ・・・もちっと味わって食えよ。」
あっという間に空になったトレーを受け取りながらヤレヤレといった風に肩を竦めて見せる。
そんな俺にゴクゴクと喉を鳴らして水を飲むとルフィはいつものように答えてくる。
「味わってるぞー。サンジの飯はいっつもうめぇからな。」
「はいはい、ありがとさん。」
一欠けらも残ってない皿を見るのはいつも嬉しい限りだが、たまにだが本当に味分かってんのか?と問い掛けたくなるのは仕方のないことだ。
差し出された空のジョッキを受け取り、降りてきたときと同様にスルスルとマストを登り始めたルフィの背に向かって声を掛ける。
「もうちょっとで交代なんだから寝るなよ?」
わかってるーと、ちょっと間延びしたルフィの声に笑いながら俺はキッチンへと足を向ける。
まあ、次の交替要員はクソ剣士だ。
寝ちまっても問題はないだろうと苦笑しながら俺は新しい煙草に火をつけた。
普段はあんなだが非常時や、本当に警戒が必要なとき、ルフィがきちんと目を覚ましているのは知っている。
どういう基準でその辺りを判断しているのかは分からないが、たぶん俺には理解できない勘ってやつなんだろう。
ただ、今夜のように安穏とした空気では眠ってしまうこともしばしばだ。
まあ、それは仲間を信じているルフィなりの甘えなんだろうなと思う。
・・・・・・で、そんな船長に俺は他の皆よりちょっと多めに夜食を作って甘やかしてみたりする。
もともと多めに夜食の差し入れをしなければ、途中でお腹を空かせたルフィによって、明日の朝飯のメニューが変わってしまうという危険性もあるから量を増やしてあるということもあるんだが・・・・。
俺は、いつものように明日の仕込を終え、テーブルにこれから起きてくる剣士用に酒といくつかのつまみを用意してキッチンの明かりを消す。
そして本日の業務は終了とばかりにクルリとキッチンを見渡してその場を後にした。
念のために通りすがりにルフィに声をかけ、眠っていないかを確認して俺は男部屋へと静かに下りていった。
灯りの落ちた部屋に滑り込むと、ハンモックの中で規則正しい寝息を刻んでいるゾロの傍に立つ。
「おい、そろそろ交代の時間だぜ・・。」
小さな声で囁くように声を掛けるとゆっくりとその目が開いていく。
「酒とつまみはキッチンのテーブルの上だ。」
「・・・・わかった・・。」
昼間の寝起きの悪さが嘘のように小さな声で呼びかけるだけで夜のゾロは目覚める。
2、3度瞬きを繰り返し、静かに起き上がる姿は完全に覚醒した動きだ。
実際、夜のコイツは眠っていなかったんじゃないかと思うぐらいそれはスムーズに次の動作を起こす。
あまりに滑らかなその動きに一度不審に思って問いかけた答えは眠っているだった。
「さっき声掛けたら返事してたから、たぶん寝てねぇとは思うが・・・、もし寝てたらそのままルフィ運んでやってくれ。」
刀を3本帯刀して扉を開けたその背に静かに声を掛ける。
ちらりとこちらに送ってきたその視線はかすかに笑っているようだった。
夜半過ぎ、唐突に目が覚めてしまった。
あまりにもすっきりとした目覚めに時計を手繰り寄せ時間を確かめる。
朝食を準備するにはまだまだ早すぎて、普段なら確実に眠っている時間だ。
そういえばハンモックに横になってからの記憶らしきものがほとんどない。
どうやら横になると同時に深い眠りに誘われたらしい。
「あれ?ルフィ・・・?」
暗く音のない室内にぼんやりと視線を彷徨わせ、空のハンモックが二つあることに気付いた。
灯りを求めて煙草に火をつけ、暗闇に慣れてきた視界で見渡せば、やはりルフィの姿がない。
あのまま見張り台で眠ってしまったのだろうか?
しっかり睡眠を取った気はするが深い眠りのせいであれからあまり時間は経っていないようだ。
お騒がせ船長と船長大好きゾロのことだ。
あのまま話でもしてるのかもしれないし、案外一緒にそのまま見張りをしているのかもしれない。
俺は寝返りを打ち、再度眠ろうと目を閉じる。
しかし、一度目覚めてしまった体にはなかなか次の眠りが訪れてくれそうもなかった。
二度、三度と寝返りを打ち、諦めて身体を起こす。
あまりバタバタしているとウソップやチョッパーを起こしかねない。
「仕方ねぇ・・なんか飲むか。」
温かい飲み物か、酒のいっぱいでも引っ掛ければ次の眠りが訪れるだろうと判断して男部屋を後にする。
もし見張り台でルフィが眠っていればついでに回収してくればいい。
そうすればゾロの邪魔にはならないだろう。
そう考えて静かに甲板に上がって夜の空気に深呼吸する。
見上げたキッチンに灯りはなく、やはり見張り台かと苦笑する。
部屋に戻り際にでも覗けはいいと考えて俺は当初の目的の為にキッチンへと足を向けた。
「・・・んっ・。」
扉を開けようとしてかすかに聞こえた声に首を傾げる。
「・・く・・っ。」
押し殺したような、切羽詰ったような声にならない呼吸の音。
その音に俺の記憶の中のレディたちの熱に浮かされた甘い瞳を思い出した。
「・・・ゾロ。」
掠れた吐息に、呼ばれた名前に、俺の口元から煙草が落ちていく。
一瞬の思考の停止の後、俺の中に沸きあがってきたのは目の眩むような怒りだった。
はぁはぁと荒い呼吸の中から、熱に浮かされたような声でゾロの名前がもう一度呼ばれる。
(あんのクソエロ剣士!!)
足元に転がった煙草を靴底でにじり潰すと、今すぐにでもその場に駆け込んで殴りつけたいのをグッとこらえてキッチンの中へ入る。
(同意か?・・・まさか強姦じゃないんだろうな?)
同意の上での行為なら俺が出る幕じゃない。
海上ではそういった行為が黙認されているのを俺だって知っている。
ルフィが知っているとは意外だったが、船に乗る機会の多かったゾロなら知っていても不思議はない。
ましてやこの船には魅力的な女性も同船しているのだ。
暴走されたら困るのは目に見えている。
「ん・・・ゾロ。」
チラリとテーブルの上を見ればゾロにと用意したつまみも酒もそのまま残っている。
行為が終わればゾロはこれを取りに来るだろうし、俺はそれまでにこの場を去らなければ非常に気まずい思いをするだろう。
そう分かっていながらも俺はここから動くことが出来なかった。
煙草に火をつけ、イライラしながら、船尾の見える小さな窓からそっと外の様子を伺う。
そこには思い描いたとおり、ルフィとゾロ、二人の姿があった。
(・・・・?)
しかしその目に映った二人の様子は俺が想像していたものとは少しだけ違っていた。
大柄なゾロに組み敷かれ、腰を抱かれ、快感に浮かされるルフィを想像していただけに目に映ったそれはにわかに信じがたい光景だった。
『サンジくんはちょっとルフィを甘やかし過ぎ・・・』
ルフィの不寝番のときはソレに付き合うように遅くまでキッチンに居ることがばれたとき優秀な航海士はちょっと呆れたように笑った。
そういう彼女も、ルフィには甘い。
もちろん小さな船医も、長っ鼻の狙撃手も、理知的な考古学者の彼女でさえ、ルフィには甘い。
甘やかしている所はみた事はないが、かつて魔獣と呼ばれたあの剣士さえルフィには甘いだろうと思っていた。
『・・・まあ・・・子供だし仕方ないけどね・・・』
彼女はそういって明るく笑った。
『それにあれがルフィなんだもの。』
そのとき自分はなんと言って彼女に答えただろう。
ドクドクと心臓の音がやけに大きく耳をつく。
予想に反して二人の着衣にたいした乱れも無く船縁に背を預けてルフィが居た。
その足元に跪く様に足を折ったゾロが居る。
こちらに背を向けていることと、月からの逆行でゾロが何をしているのかは見えないが時折伸ばされたルフィの手でその柔らかそうな髪を撫でられている。
不意にルフィが満足そうに口を歪めた。
喉が干上がったように声も出ない。
瞬きも出来ないまま、思考は止まる。
視線をそらすことも出来ないまま、俺はただ見ていることしか出来なかった。
己の前に跪いた剣士の緑の短い髪を撫であげ熱い息を漏らす男の顔。
「・・・・・・ぅっ。」
やがて訪れた快楽からか一つ身震いしたルフィが、満足そうな笑みを浮かべた。
その身体からゆっくりと離れ、手の甲で軽く唇を拭ったゾロを引き寄せ楽しそう笑う。
一瞬、ルフィが窓越しの俺を見て笑ったような気がした。
従順な剣士に口付けるその仕草は淫蕩で明らかに征服者の顔だった。
どれほど時間がたったのか、ほんの短い間だったのかもしれないが、俺が気付いた時には獣たちの交わりは終わっていた。
ルフィがゾロに口付けした所で窓際から離れたからそれ以降の行為は目にしていない。
それが救いなのかどうなのかは俺には分からなかった。
異様な疲労感にぐったりとした体を壁に預けズルズルと座り込む。
(嘘だろう・・・・)
この目で見たというのに先程の光景が信じられない。
船長に妄信的で盲目的なゾロの行為は分かるとして、ルフィはゾロのことが好きだったのだろうか?
ゾロはルフィに望まれれば身体の一つや二つ平気で差し出しそうだが・・。
「・・・・ちっ、」
その光景を振り払うように煙草を求めて胸ポケットを探り、震える指先に呆然とする。
どこか熱に浮かされたような覚えのある感覚に恐る恐る視線を落としてみれば、明らかにその兆しが見える。
落ち着け、落ち着け・・・オレ。
・・・衝撃がキツ過ぎたんだ、きっと。
泣き笑いのような気持ちで心の中で繰り返し、一度深呼吸すると煙草に火をつける。
そして目を閉じようとして慌てて闇を見据える。
俺はいったいどっちに感じたんだ?
ゆっくりと一本吸い終わる頃にはやるせない欲望も落ちついた。
外が明るくなってきたからも知れない。
今夜の出来事は忘れるのが一番のような気がした。
俺は何も見なかった。
よし、完璧だ。
キッチンの扉を開けるとまぶしい光が目を焼く。
室内を満たした冷たい風に気持ちの切り替えもうまくいきそうだ。
ルフィがゾロを好きでも、ゾロがルフィを好きでも、俺には関係のないことだ。
一つ大きく伸びをして腹を減らした野郎共と、麗しのレディたちに振舞う朝食のメニューを組み立てていく。
「・・・・よし。」
冷たい水で顔と手を洗い、冷蔵庫へと向かう。
そして振り返ったテーブルの上に剣士の為に用意してあったつまみと酒がそのまま取り残されているのに気付いたのだった。
何事も無く船は進んでいく。
あの日から、ほんの少しだけゾロと視線を合わせることが出来なくなってしまった俺を残して。
「島よ、上陸の準備して。」
歓声を上げるクルー達に的確な指示を出しながらナミさんがキッチンへ入ってくる。
「サンジくん、食料の補充お願いね。」
風を捕まえるのが上手かったのか予定より2日早く島への寄航となった。
毎日食料の在庫を確認しているとはいえ、調味料などの予備の在庫確認までは出来ていない。
2日先の予定でそちらにまで目が行き届いてはいなかった。
日常的に消費する物は適当に購入してもいいが、スパイスとなるとそういうわけにはいかない。
ログが貯まるのが早ければ多少我慢して通常使用の分だけ補充するしかないだろう。
「うおおー、島だー、冒険だー。」
船首からルフィの奇声が聞こえる。
能天気なその声に無意識に苦笑が漏れた。
「うわあああぁぁぁ・・・。」
「ちょっとー、ルフィー。待ちなさい!!。」
外からナミさんの怒ったような声とウソップの悲鳴が聞こえてくる。
どうやら接岸すると同時に、ウソップを引き摺ってルフィは飛び出していったらしい。
俺はとりあえずキッチンにある常備使用のスパイスの在庫を確認しようとメモを取り始める。
出来れば荷物もちにチョッパーが残ってくれていればいいんだが。
もう一人の荷物もちに的確な人物はあえて排除した。
「サンジくん、アタシも出かけてくるわね?」
ひょっこりといった感じで扉からナミさんが顔を出した。
棚をチェックしながらメモを取っている俺をチラリと見て少し困ったように笑う。
「医薬品の買い足ししたいって言ってるからチョッパーと出掛けてくるけど・・・大丈夫?」
「あ・・・大丈夫ですよ。」
棚の扉を閉め、笑みを浮かべてナミさんのほうへ振り返る。
「必要ならゾロを使って?」
どことなく申し訳なさそうに言葉にした様子にやっぱりこの人は敏いと感心する。
俺がゾロに無意識に構えてしまっているのを気付いていたのだろう。
「分かりました。思いっきりこき使ってやります。」
ニヤリと口元を歪めて笑えば、ほっとしたようにナミさんも笑みを浮かべる。
「お願いね。サンジくん。」
「はい、ナミさん。」
いつものようにハートを飛ばしまくった俺に軽く手を振ると彼女はチョッパーを伴って船を降りて行った様だった。
滞在時間を聞かなかったが宿泊するとは行っていなかったからそのうち帰ってくるだろう。
倉庫に向かいつつ、荷物持ち候補を探すとメリーの近くで寝こけているのを発見する。
そのどこか疲れたような表情に、なんだかそっと頭を撫でてやりたい気持ちに駆られたが、慌てて頭を切り替え食料チェックに向かう。
のんびりとしている暇は無いと自分に言い聞かせた。
買出しメモを作り終え俺は深く溜息をついた。
思ったより残りの食料が少なかったのだ。
まあ、本来の寄航予定が一週間遅れたとしても、三食おやつ付きの食事をクルーに提供できるだけのものはあった。
ただ、酒の減りが思ったより早かった。
規制しながら飲ませていたつもりだったが、どうも調子が狂っていたみたいだ。
「オイ、起きろマリモ!」
少しも目覚める気配無く眠っているゾロの傍らに立ち声を掛けてみる。
先程見たときと同じ体勢のままで目を閉じている。
どこか疲れたようなその表情は幼く、このまま寝かせてやりたいと思うが、予想より多かった食料の買出しを一人でこなすとなるとかなりの時間が必要になる。
滞在時間の分からない今は心を鬼にして起こすしかない。
「オイ、起きろクソ剣士!!」
さすがに蹴り起こすのは避け、その身体を揺さぶり起こす。
正面から覗き込むような格好で揺り動かせばさすがに眠っていられないのかゆっくりと目蓋が開いた。
ぼんやりとした焦点を結んでいない光にやはり体調が良くないのだろうと思う。
久しぶりに間近でみたその顔も覇気がない。
「おい、起きられるか?」
さすがにその様子に心配になって買出しに付き合せるのはやめるつもりで手を伸ばす。
額に触れ、頬に触れ、首に手を触れ脈を確かめ、熱が出ていないのを確認する。
傷から発熱しているのかとも思ったのだが。
「体調悪いなら部屋で寝てろ。」
チョッパーが帰ってくればそれなりに処方してもらえるだろう。
いくら頑丈な剣士といえど、調子の悪そうなこいつをそれまで甲板に転がしておくのは気が引ける。
第一、普段どおりであればとうに怒り出しているはずの接触に大人しくしていること事態がその調子の悪さを表している。
「おい?立てねぇのか?」
いつまでたっても動こうとしないゾロに静かに問いかける。
さすがにゾロを抱えて部屋まで運ぶのは重労働だ。
これから一人で買出しをしなければいけないことを考えると体力は温存しておきたい。
だが、体調の悪そうなコイツをこのままにしておくのも精神衛生上悪い。
さて、どうしたもんかとぼんやりとしているゾロを覗き込む。
「・・・・クソコック?」
「ああ・・。」
その力のない声に買出しは誰か別の人間が帰ってきてからにするべきかと苦笑する。
「・・・サンジ?」
「・・・・?」
名前を呼ばれ、驚く反面かなり体調が悪いのだろうと判断する。
よく考えれば名前を呼ばれたのは初めてかもしれない。
「サンジ・・・。」
あっと思う間もなくゾロの腕が伸びてきて、腕を引き寄せられたと思ったらくったりと力の抜けた身体が腕の中にあった。
突拍子もないゾロの行動にどう対処するべきか悩んでいると、ゾロが小さな声で何かを言っている。
驚かせないように背を抱いてその言葉に耳を傾けた。
「・・ごめ・・・ごめん。」
ゾロに謝ってもらわなくてはいけないことなど咄嗟に思いつかない。
最近は喧嘩をした覚えも無ければ、顔さえあまり合わせてなかったような気がする。
唯一浮かぶのは目を盗んで酒をくすねていたとかそれぐらいだ。
よく分からないがとりあえず怒ってないと告げて宥めるように抱き締めてやる。
「きら・・で・・サンジ。」
「・・・え?。」
コトンといった感じでそのまま眠りに入ってしまったゾロを抱き締めて困ったように溜息をつく。
最後の言葉は『嫌わないでくれ』なのか『嫌いにならないでくれ』なのか。
どちらにしてもそうゾロが思ってしまうほど酷い態度を取っていたのだろうかと苦笑するしかない。
あの夜のことが原因で多少ぎこちなく接していた気はするが、ゾロが気にしてしまうほど態度に出ていたのだろうか。
とりあえず腕の中で眠ってしまったゾロを抱えてキッチンへと移動する。
男部屋に連れて行って眠らせた方がいいような気もしたが、目が覚めたときに俺が傍に居た方がコイツが安心するんじゃないだろうかとふと思ったからだ。
毛布を広げ簡易の寝床を作るとそっとゾロを横たわらせる。
刀を手の届く位置に置き、思いついて上着を脱ぐと毛布の上からそれを掛けてやる。
煙草の匂いの染み込んだそれは、眠っているゾロに俺が傍に居ると分からせることができていいだろう。
無意識にかそれを抱き締めるようにして寝息をたて始めた姿に笑みが浮かぶ。
「ごめんな、ゾロ。恋愛は自由だっていうのに冷たく当たっちまってたみてぇだな。」
手を伸ばしフワフワとした手触りの髪を優しく撫でてやる。
ルフィとゾロの事は多少感情に波を立たせるが、それはあくまで俺個人の感情だ。
今すぐには無理かもしれないがそのうち消えてなくなるだろう。
二人を笑って祝福できると思う。
「すぐに理解ってのは無理かもしれないけど俺は二人の味方だから・・。」
やはりどこか辛そうな寝顔に可哀想なことをしたなと反省する。
戦闘以外は案外不器用なコイツは理由もわからず冷たい態度を取っていた俺に傷付いてのだろう。
「ルフィに大切にしてもらえよ・・・。」
2、3度優しく髪を撫で、急に照れくさくなってその場を離れる。
いい年をした男を捕まえて何で俺は娘を嫁に出す父親みたいな気分になってるんだ。
テーブルに投げ出した煙草を一本取り出して火をつけようとして思い留まる。
体調の悪いゾロの傍で煙草を吸うのは気が引けた。
煙草とマッチを手に出来るだけ静かにキッチンを後にする。
一服したら目を覚ましたゾロに胃に優しい野菜たっぷりのスープでも用意してやろう。
後ろ手に扉を閉めた俺は眠っていたはずのゾロの目が開かれていたことにこの時気付かなかった。
「それでいいんだな?」
手摺りに凭れて深く煙を吸い込んだ俺の背後からかかった声に驚いて振り返る。
みかん畑の木を背にし、乗せ座り込んでいたルフィがいた。
「びっくりさせんなよ。いつ帰ってきてたんだ?。」
日差しを遮る為にか麦わら帽子で隠された表情は分からない。
いったいいつから此処に居て、いつから見られていたんだろう。
「ゾロが調子悪いみたいでさ、買出しに行けてないんだ。帰って来たんなら船番しててくれ、買出しに行って来るからさ。」
「サンジ。」
ゆっくりとした動作で麦わら帽子を被りなおしたルフィが俺の名を呼ぶ。
「サンジ、お前はそれで本当にいいんだな?」
ルフィの言っている言葉の意味が分からない。
何がいいと言っているのか。
「何のことだ、クソゴム。」
それでなくても時間が無くてイラついているところにこのルフィの態度は俺をキレさせるだけの要素は十分だ。
だいたいゾロの不調にしても俺だけが原因とは思えない。
「・・・ゾロのことだ。」
「意味がわからねぇぞ、クソゴム。きちんと人間様の言葉で喋りやがれ。」
新しい一本に火をつけながらあの夜以来始めて視線を合わす。
そうしてみて、やはりこだわっていたのは俺だけだという事に改めて気付かされた。
ルフィの視線は逸らされる事なく俺を見ている。
「俺はゾロが好きだ。」
キッパリとしたルフィの言葉に俺は眉を寄せた。
それを俺に聞かせてどうしようというのか。
「ゾロが欲しいと思ったからそう告げた。」
その言い草にこんなときだがルフィらしいと苦笑する。
俺の笑いをどう取ったのかルフィもニヤリと笑ってみせた。
「俺はゾロが欲しい・・・。でも、ナミもサンジも・・・欲しい。」
底冷えのするようなルフィのその眼差しに、視線をそらすことも出来ず俺は呆然とその告白を聞く。
「ウソップも、チョッパーも、ロビンも・・・・全部だ。」
喉が干上がったように声も出ない。
ドクドクと波打つ心臓の音がやけに耳についた。
「俺はやれねぇ。でも、お前らは俺のもんだ。」
この時みかん畑とキッチン前の通路という二人の間にある距離に心から感謝した。
蛇に睨まれた蛙、いや、魔王に魅入られた生け贄。
そんな言葉が頭の中に浮かんで消える。
実際、今ルフィが腕を伸ばして、あの時ゾロにさせていたようなことを俺に望んだとして俺は抗えただろうか。
緊張に冷たくなった指先に小さく舌打ちする。
「ゾロは全部はくれねぇ。アイツの野望はあいつだけのもんだ。」
「ああ、そりゃ当たり前だろうぜ。俺の夢も俺だけのもんだ。」
何とか視線を逸らし吐き捨てるように呟いてやる。
ルフィに対しての警戒が解けない身体は無駄に強張って煙草の煙を吐き出す動作さえ不自然だ。
「心もやれねぇってゾロは言った。」
「・・・は?」
その言葉の意味を図りかね問いただそうと見上げれば、先程の空気はなんだったのかといいたくなるほどいつもどおりのルフィがそこに居た。
「サンジ、ゾロは。」
「やめろルフィ!!」
どこか哀れみの混じったルフィの声に覆いかぶさって激昂したゾロの声が響く。
驚いて振り返れば、先程まで体調が悪く寝ていたとは思えない程視線を険しくさせたゾロが立っていた。
「やめろ、やめるんだ、ルフィ。」
ギラギラと輝く眼差しにフッとルフィは笑みを浮かべて俺とゾロを見比べる。
「やめねぇ。諦めろゾロ。」
「・・・いやだ・・・やめてくれ、ルフィ。」
小さく取り縋るよなその声に訳も分からず止めさせようと口を開きかけたときそれは告げられた。
「サンジ、ゾロが好きなのはお前だ。」
「・・あ?」
「ゾロが欲しいと望んだのは、お前だサンジ。」
ルフィの言葉にゆっくりとゾロを振り返る。
ゾロの顔は蒼白で今にも倒れそうにみえた。
その表情にルフィの言葉が嘘や冗談でないことが分かった。
なんと声をかけていいのか分からず見つめていると能天気なルフィの声が聞こえてくる。
「出航は明後日の朝だ。ナミが今夜は宿を取ったと言ってたからな。」
ピョンとみかん畑から飛び降りてゾロの耳元で何事か囁いたと思ったらそのまま船縁を越えて飛び降りてしまう。
「おい、クソゴム!!」
宿の場所も教えないで去っていこうとするその背に慌てて声を掛ける。
船に残るにしてもゾロをチョッパーに診せる必要があるはずだ。
慌てる俺にルフィはニンマリと笑みを浮かべてトントンと自分の胸あたりを指差した。
「心配ねぇサンジ。ちぃ〜とココに無理させただけだ。」
寝てれば治るとゾロのようなことを言って消えていく。
「・・・ちっ、本当に行っちまいやがった。」
忌々しい後姿を見送って仕方ないと溜息を漏らす。
先程ルフィから告げられた衝撃の告白より、その本人の体調の方が気になってしまう。
医者はいらないといったルフィの言葉を信用するにしてもやはり休ませておいた方がいいだろう。
「ゾロ、起きてんなら飯食って・・って、居ねぇ。」
ルフィに気をとられている間に居なくなったゾロに小さく溜息を零す。
告白は衝撃的ではあったが本人の口から告げられたわけではなく、内容に驚きはしてもだから何がかわるというほどサンジの中で変わったものは見られなかった。
とりあえずチョッパーの居ない今、まともな食事を取らせて眠らせるのが一番だと考えて声を掛ければその場にゾロは居ない。
キッチンに戻っているかと覗けばそこにもやはり姿は無かった。
毛布の傍にまとめておいた刀が3本ともある事からルフィの後を追って船を降りたわけではなさそうだ。
それほど広いわけでもないメリー号の中をゾロを探してグルグルと徘徊する。
「・・・・いい度胸だ、ゾロ。」
一通り部屋を見て廻ったが結局、その姿を発見することは出来なかった。
メインマストからみかん畑から、可能性のありそうな場所を片っ端から探してキッチンへと戻ってくる。
倒れていないか気にして探し回った自分がバカみたいでイライラとした気分のままシンクへ向かう。
さすがにサンジの目を盗んでキッチンへ来ることは不可能だったのかゾロの刀は3本ともここに置きっぱなしになっている。
しかもここに来なければ酒も食べ物も手に入らない。
倉庫を荒らすなんてルフィならともかくゾロには出来ない芸当だ。
「絶対捕まえてやるからな、覚悟しとけよ。」
俺は棚から数本の酒瓶を取り出すと、それに合う酒の肴を作り始めた。
(・・・??)
身体に感じたずっしりとした重さに、眠りの淵に沈んでいた俺の意識は引き上げられた。
次に耳に入ってきたのはぴちゃぴちゃと水を飲むような濡れた音。
いったい何の音だと疑問を感じながら身体を動かそうとして、動かない身体と自分の身体に跨るゾロの姿をぼんやりと見つめる。
「な・・に、してる?」
室内を照らす仄かな灯りのせいで自分の姿も、そしてゾロの姿もはっきりと見ることが出来る。
すっかり肌蹴られたシャツの間に顔を埋める様にしてゾロが無心に口付けていた。
ぴちゃと濡れた音を立てて肌をすべる唇に眉を寄せる。
咄嗟に払い除けようと動かした俺の腕は丁寧にもベルトで縛り上げてあった。
「ゾロ・・・・。」
真摯な表情で口付けているその姿に溜息が漏れる。
感じないわけではないが、あまりも的を外した愛撫ではくすぐったくて、性的興奮はやってこない。
それに気付いたのかゾロはチラリとこちらに視線を向け、俺の表情を伺うと目を伏せ何事か決意したように再度肌に口付けていく。
ゆっくりとたどたどしい舌使いのまま下肢に下がっていく身体に今度こそはっきりとした溜息をつく。
「ゾロ、それ以上はダメだ。」
ビクリと震えた身体にそっと声を掛ける。
「俺に嫌われてもいいなら続けろ。それが嫌ならこれを解け。」
ベルトで戒められている腕を視線で示してゾロの反応を待つ。
無視して続けようとするなら脚で強制的にでも眠らせるしかないかと物騒なことを考えながらゾロの動向をじっと待つ。
やがて顔を伏せたまま緩々とした動きでゾロの腕が伸ばされ、ゆっくりと戒めが解かれた。
拘束の解けた腕に多少あざが出来ているものの痛みはない。
やはり料理人の腕を拘束する事にゾロの中でためらいがあったのだろう。
「ゾロ、言いたいことがあったらきちんと言葉にしろ。」
拘束を解いても身体の上に乗り上げたまま動こうとしないゾロにそっと腕を伸ばす。
その頭を抱いて引き寄せようとしたのだが、胸に腕を突っ張って嫌がる。
チラリとテーブルに視線を向けて俺はゾロに優しく微笑みかけた。
「飯は食ったか?」
床に寝転んだままでは皿が空になったかどうかは分からない。
その問いかけに伏せられていたゾロの目が驚いたように向けられた。
ああ、なんて綺麗な翡翠なんだろうとその色に自然な笑みが浮かぶ。
困惑したようなゾロにもう一度優しく微笑んで繰り返す。
「飯は食えたか?気分は悪くないか?」
「・・・少しだけ・・。」
「気分は?」
「・・・大丈夫。」
「そっか・・・。」
にっこりと笑って腕に力を込めれば今度は抵抗無くゾロの身体が倒れこんでくる。
小刻みに震えているのは泣いているのか、脅えているのか。
あの魔獣と呼ばれて鬼神の如く強い男が、自分の腕の中で身を固くしてジッとしている姿は哀れでさえあった。
「言えよ、ゾロ。俺はお前の口から何も聞いちゃいねぇぞ?。」
苦笑交じりにゾロの言葉を促す。
ゾロは覚悟を決めたのか静かに顔をあげた。
「好きだ、サンジ。」
「ん、それで?」
「それでって・・・?」
困惑したように見つめてくる澄んだ翡翠の瞳に己の姿だけが映っているのを満足気に思う。
「俺を抱きたいのか、俺に抱かれたいのか、どっちだ?。」
俺を拘束して組み敷いて一心不乱に口付けていたゾロ。
一瞬きょとんとした表情を見せ、その問いかけの意味を理解したのか今度は耳まで真っ赤にして俯いてしまう。
「わかんねぇ・・。」
ポツリと呟かれた言葉に腕を離し、身体を起こして互いに向かい合うようにして座りなおす。
逃げかけたゾロの身体をやんわりと戒めて正面から視線を合わす。
「それじゃ、キスは?俺としてみてぇか?」
あくまで優しい態度をみせる俺に戸惑いながらもゾロはゆっくりと頷く。
そうか・・と呟いて唇を重ねてもゾロは逃げなかった。
驚いて硬直しているのかと思えばゆっくりとだが静かに瞳が閉じられていく。
幾度かその唇に触れて閉じられたゾロの目蓋にも口付けを落とす。
「俺もお前のことは嫌いじゃねぇ。キスも気持ちいいと思うし、またキスしてぇって思う。」
クスリと笑って俺はゾロを腕に抱き締めた。
本当に意外だが、こうして抱き合っていても嫌悪感の一つも浮かんできやしねぇ。
むしろどこか嬉しいと感じちまう。
「でも、俺もお前と同じでわかんねぇ。」
その言葉に強張った身体をきつく抱きしめて続ける。
「どういう好きなのか。お前を抱きたいのか、俺が抱かれたいのか・・。」
そっとこめかみに唇を落とすとふっとゾロの身体から力が抜けた。
俺が拒否したわけじゃないとゾロも分かったんだろう。
「ゾロ、少しだけ時間をくれるか?」
俺の問いかけにゾロは小さく頷いた。
「きっと答えはすぐに出せると思うぜ。なんせ俺はラブコックだからな?」
おどけて笑った俺の唇にゾロがそっと顔を寄せてくる。
その少し悲しそうな綺麗な顔に、本当は考える必要なんてないのかもしれないと、キスに応えて目を閉じながら、俺は心の中でかすかに笑みを漏らしていた。
「おい、クソゴム。ゾロは俺のもんだからな、もう手ぇ出すんじゃねえぞ?」
船に帰って来た船長を捕まえて釘を刺す。
いまだゾロにあの答えは返していないが、放っておくと容赦なくゾロに手を伸ばしてきそうなルフィを牽制する意味でもはっきりと言葉にしておく。
「なーんだ、やっぱりサンジは最後まで食っちまったのか。」
のんびりとしたその声にピクリと眉が寄ったが続けて言われた言葉に動きが止まる。
「俺、最後まで食ってねぇのに。」
「・・・・・・は?」
やっぱサンジは手ぇ早いよなーと間延びしたルフィの声が続く。
「だって、俺ゾロには触ってねぇもん。触らしてくんなかったし。」
「キスしてたじゃねぇか、それにフェ・・・。」
さすがにはっきりと言葉にするのを躊躇った俺にルフィはニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべた。
「ゾロに手で抜いて貰ったのも一回だけだし?キスって。」
ゴムの腕に引っ張られ、抵抗する間もなくチュと軽い音をたててルフィに口付けられる。
「こーいうのしかしたことねぇぞ?」
目を剥いて固まった俺にルフィは実に楽しそうに笑った。
「だって、お前、あのとき・・。」
「ああ、サンジが来てたの分かったから、その場に立ち上がっただけだ。他意はねぇ。」
「やっぱり俺が見てたの気付いてたのか・・。」
「ああ・・、サンジ気配消してなかったじゃねぇか。」
あの時、ルフィと視線があったと思ったのは気のせいなんかじゃなかったのだ。
だが、俺が見た光景の行為の終わりにゾロが自分の口元を拭っていたのをはっきりと覚えている。
「まあ、体勢がアレだったし、気持ちよすぎてちょっとばっかしゾロの顔に飛んじまったけどなー。それも後でちゃんと舐め取ったし問題ねえ。」
顔に飛んだ飛沫をゾロが手で拭い、その飛沫を舐め取ってみせたその行為が、あの濃厚な夜と誤解させられた全貌だったとは・・。
ゾロはともかくルフィは絶対に確信犯だと俺はクラクラする思考の中で思った。
がっくりと脱力したその姿をじっと眺めていたルフィが何を思ったのかニタリと笑みを浮かべる。
「サンジも美味そうだよなぁ?。」
言われた内容よりもその口調に本能的な恐怖を感じて咄嗟に後退る。
もしかして船長にそういった意味で狙われた場合、ゾロより俺の身の方が危ないんじゃねえのか?
本気を出して押さえ込まれたらさすがの俺でも逃げ切る自信などない。
「まさか・・てめぇ、ナミさんは食ったとかいわねぇだろうな。」
もっとも非力な女性を思い浮かべてぞっとする。
「ナミかー、食ってねぇぞ?ゾロがダメだって言ったからな。」
ちょっと残念そうなその口振りに一応はほっとする。
聡明な彼女が気付かないうちにこの船長に食われてましたではなんだか悲しい気がした。
「へぇ?ゾロがダメだって言ったら食わねぇのか?」
そのあたりはきちんと聞いておいたほうが良さそうだと判断してルフィに訊ねる。
「んー、前にそう約束させられたからな。俺も約束は守る。」
ドーンと胸を張って答えたその様子に苦笑が漏れるが、その約束がある限りはナミの身の安全は保障されるのだ。
あいつも無駄にルフィの我儘に付き合っているわけじゃないんだなと少しだけ感心した。
「うーん?だったら俺も食えねぇな、ルフィ。」
ゾロが惚れている俺を食わせはしないだろうと、からかい混じりにそう告げてやるとルフィはニンマリと人相悪く笑った。
「なんでだ?ゾロはサンジのもんになったから食うなってサンジから言われたが、サンジがゾロのもんだって俺はゾロから聞いてねぇぞ。」
「・・・・・ハイ?」
「ゾロから食うなって言われてねぇから、俺がサンジを食っても問題ねぇ。」
どんな屁理屈だと怒鳴ろうとして伸びてきたルフィにペロリと首筋を舐められる。
「・・・美味そうだ。」
「ヒェエエ!!!。」
ゾロを食うか、または食われるか、(いやたぶん俺が食うと思うけど)どちらかに決めないと俺がルフィに食われちまう。
漆黒の瞳の中に本気の色を見て俺は情けなくも悲鳴を上げてその場から逃げ出した。
背後ではルフィが楽しそうに声を上げて笑っている。
悔しいが、俺はテメェに食われてやるわけにはいかねえよ。
俺の足は自然にゾロのいる船尾へ向かって軽やかに進んでいった。
END++
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サンジ視点のゾロ片想い話です(^^;
ええっと、ゾロが片想いなんですが、見事に襲ってます(汗笑
サンジくんはこの後受け入れるでしょうし、ラブラブでいつもどおりかと(何
そして黒船長(どーん
私の中で船長は総攻だったりします(汗笑
(2006/04/09)