【 手 紙 



ゾロへ




いい加減にしとけよ、ゾロ。
他人の身体を何だと思ってんだ。
おかげでこっちはアレから3日、丸3日も寝込んだんだぞ。

父さんには笑われるし、ナミさんには情けないわね、と言われるし。


しかも、ゾロ、去り際にこう言ったよな?


『鍛え方が足りない』


って。

あのな、俺はこれでも強くなってんだよ。

これからもっともっと強くなっていくんだよ。

いつか俺がゾロを越えて、俺が、ゾロの、大剣豪の称号を貰うんだから。


今度会ったら強くなったって絶対言わせてみせる。


その時は、ゾロにだって負けねぇ!




・・・・・・だから。





だから、安心しててくれ。

ゾロの守りたかったものは、これからは俺が守っていくから。



                                    ゼロ




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ゼロはしっかりと封をした封筒を持って甲板へと上がってきた。

明るい月夜に海面はキラキラと光を反射している。
とても静かな夜だった。

船首に人影を見つけ、ゼロは躊躇無く近付いた。
その場所に座る人物はたった一人しかありえないから。





無言で海を見つめるその眼差しに、何が見えているのか知りたいと思ったのは遠い幼い頃。

その傍らには自分が目標とするべき男の姿がいつもあった。






少し離れた船縁から海面を見つめ無言でライターを取り出す。
宛名の無いその封筒にゆっくりと火を着けた。
メラメラと燃え上がり、赤く染まったそれを海に投げ捨て、海流に飲まれ消えていくのを静かに見送る。






「ゼロ、心配しなくても届く。」

船首からのその声は優しく響き、ゼロはゆっくりと頷いた。



---END---


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手紙シリーズはこれで本編(?)終了となります。
ゾロもサンジも出てこない一人称の語りだけのお話。
一応、補足というかこのゼロの手紙とリンクした番外編を書きましたのでよろしければそちらも読んでやってください(汗
読んでくれた方、有難うございました(深礼


【設定裏 パート3】

ゼロはやがて麦わら海賊団を引き継ぎます。
ルフィは死ぬまで現役ですが、表舞台はゼロに譲って昔のように冒険の旅へと出てしまいます。
ナミはそのルフィに着いていきますが、頻繁に麦わら海賊団に帰ってくるので彼女が実質No.1なのは今も昔も変わりません(笑
ゼロはやがてゾロの刀を3本とも譲り受けますが、生涯2刀流のままです。
3刀流の剣技は受け継げませんでした(^^;
鬼徹と雪走のみを帯刀して、和道一文字は余程の事が無いと抜きません。

偉大な二人の父を持ってしまった彼の苦悩はこれから始まります(笑