じんとりってどんな遊び? |
昔、広場や路地で夢中になって、いろいろな遊びをしていました。
その中で、じんとりは、いろいろな地方で遊ばれていた人気のある遊びです。 簡単に説明すると、2チームに分かれて、それぞれ陣地を決めて行う集団対抗の鬼ごっこのような遊びですが、 相手チームの人を捕まえたり(相手チームに捕まらないように)、味方を助けたり(相手が助けるのを邪魔したり)しながら、 相手の陣にタッチ(相手に自分の陣地にタッチされないように)することを目指します。 ルールは低学年の子にはやや複雑ですが、味方同士の協力や、戦法を考えるおもしろさがあり、 かなり走りまわる遊びです。 |
遊びかた |
★2チームに分かれます。最低3人対3人は必要。(できれば5人対5人〜10人対10人)。 グラウンドでも体育館でも、また、障害物のあるところでも、安全に走り回ることのできるところなら、 どこてもできます。 ★次に、それぞれ陣地を決めます。大きさに特に決まりはありません。 注 お互いの陣地は、20〜30m位離れたところに、線などを引いて作ります (公園などではベンチや遊具などを利用しても良いです)。5人対5人位なら1畳分ぐらいでいいでしょう。 陣は大きい方が、守りにくく(攻めやすく)なりますので、 遊んでいて「決着がつきにくいな」と思ったら大きめに作ると良いでしょう。 特に初めて陣取りをする子どもは、相手に捕まるのを恐れ、自分の陣から離れにくいです。 最初は大きめに陣を作り、攻め有利の方が良いでしょう。 ●じんとりの流れ @両チーム全員でカイセン(開戦)と声をあげます。これが、開始の合図です。 A相手チームの人を捕まえ相手のチームの守りを少なくしたり、相手の裏をかく作戦を使ったりして、 チャンスを作っていきます。 B相手に捕まらずに、相手の陣地にタッチできたらジンパ(陣破)と勝利の声をあげます。 これで終了です。相手を全員捕まえても勝ちとなります。 ●じんとりのルール @相手を捕まえるには? 自分より「古い」人をタッチすれば捕まえることができます。(自分より「新しい」人をタッチしたら逆に捕まります)。 「新しい」「古い」は、それぞれ自分の陣を出たのが、先か後かで決まります。自分の陣を出たばかりの人は、 「新しい」のですが、時間がたつにつれてどんどん「古い」になっていきます。 「古い」人もまた自分の陣にいったん戻ればまた「新しく」なります。 1 ◎さんが攻めてきました。 2 ☆さんが後から出てきました。 ☆の方が後から出てきたので、タッチすると☆が◎を捕まえることができます。 3 ◎が自分の陣に戻ってから出て来たら、今度は◎の方が強く(新しい)になります。 そのため、お互い自陣近くが有利になるわけです。 味方同士で協力が大切です。いろんな役割も出てきます。 守備役−陣を守る係、ただ守るだけでなく見方が捕まりそうな時は援護にもでます。 おとり役−相手陣に近づいていって、相手をおびき出す。 追い落とし役−おとり役が引きつけた敵を捕まえる。おとり役の違う方向から近づくのも有効。 かく乱役−相手の陣の裏側に回ったりして相手の注意を引きつける。 ツッコミ役−かく乱役の反対側からジンパをねらう。気づかれたら、さっきのかく乱役と役交代。 などなど、それぞれが瞬時に役を入れ替えながら行います。 A捕まったら? 捕虜になって味方の助けを待ちます。捕まっている間は相手の陣につながれます(相手の陣から離れられない)。 2人以上捕まった場合、手や足で数珠のようにつながります。 味方にタッチしてもらったら助かり、自分の陣に戻ることができます。 あまり、捕まえすぎると、列が長くなり助けやすくなるため、相手の主力メンバーを捕まえている時は、 それ以上捕虜を増やさないのも作戦です。 ルールで連なることのできる人数を3人までとかに、(4人捕まっている場合、3人と1人又は、 2人と2人の2列にする)してもいいでしょう。 以下の時は、参加ができません。「参加できない」とは相手を捕まえたり、味方の捕虜を助けたり、 ジンパすることはできません。また、相手に捕まることもありません。 @相手を捕まえたとき A捕まえられた味方を助けたとき B捕まっていた者が味方に助けられたとき 自分の陣に戻った時点で、また参加できます。 この参加できない時の人を「透明人間」とか「空気人間」 とか言ったりします(呼び名を決めたほうがやりやすいでしょう)。 自分より古い敵を捕まえても、自分より新しい敵が出てきて捕まるという「相討ち状態」が 頻繁に起こるのを防ぐためです。追っかけても「相討ち:敵を減らせるけど自分は捕虜」になるのでは、 攻めがやや消極的になってしまいます。また、強い(速い)人の2重3重殺を防ぐ意味もあります。 その他、敵にジンパされそうなときは、自分の方が古くても、わざとタッチして捕まり (自殺タッチ・犠牲タッチとも言う)「ジンパされる」という最悪の事態を防ぐこともできます。 |
ローカルルール |
タッチしたときの勝ち負けを、「新しい」「古い」ではなく、その場でじゃんけんで決めるルールや、
お互いの陣の間に線(国境)を引き、自陣側(自国)の者が勝つというルールもあります。また、
それぞれ役を決めておき、例えば「グー」「チョキ」「パー」で、「グ−」の人は「チョキ」の人に勝つが「パー」には負ける、
同じ役の人はじゃんけんで決めるといった「水雷艦長」的なルールもあります。 「参加できない」状態(透明人間ルール)がない地域もあります。 陣にさわっている仲間にふれると、陣に戻った時を同じように、新しくなれるルールもあります。 |
よもやまばなし |
1年生から6年生が混ざってすると、ジンパするのは、やはり上学年の足が速い子とかが一番多いのですが、
その次は、意外と1年生とか最下学年がジンパを決めることが多いです。守る側からすれば相手上学年の子に注意がいくので
下の方の学年ほどノーマークになりやすく、上学年が相手陣地を牽制しているスキに、反対側からつっこめばけっこう成功します。
これがサッカーなどではドリブルやシュートなどある程度の技術を必要とするところですが、
陣取りについてはそれがないので、下学年の子にもチャンスができるわけです。
サッカー・バスケ等のスポーツにある、相手のマークをかき回したり、局地的に数的有利を作ったりという
駆け引きは、じんとりの中でも大きな作戦要素であり、集団戦の楽しさを味わうことができます。 子ども達に、じんとりを教えて遊ばせてみると、捕まるのを恐れて、なかなか自分の陣を離れられません。 上の学年の敵が出てくるとすぐに自陣に帰ってしまいます。それぞれが自陣の前をちょろちょろするだけの 膠着状況になりやすいです。僕らは上級生(じんとり熟練者)が作る流れの中で、 楽しみ方や味方同士の連携といった流れを自然覚えていったのですが、 全員じんとり初心者で始めると、活発に動けるよう軌道に乗せるまでは結構てこずります。 最初は、陣を大きくするなど攻め有利にしておいた方がよいでしょう。 ジンパが速いか、守備側のタッチが速いかで、もめることがあります。実際判断できず、お互いの チームで相談して、ジャンケンで決めたり、「痛み分け(ジンパ不成立だが、捕虜にもならない)」になります。 状況にもよりますが、「陣の前に出てタッチする」という方法も、守備側としては有効です。 禁じ手とするがどうか微妙なものに「追撃接近作戦:自分より遅い子を追いかけてギリギリまで敵陣の接近を狙う。 ジンパは無理で捕まりそうなら、目の前の追っかけている敵を捕まえて身の確保を図る」という戦法があります。 これをやりすぎると、低学年などの足の遅い子は「おまえは、行くな」と言われるようになる場合があります (厳密には味方が援護すれば防げるけど)。足の速い子だけの特権的戦法なので、圧倒的に不利な状況で、 自分が捕まることのできない時だけ、使っていたように思います。 |